ここ最近、書斎の音響環境について、アップデートしたので記事にする。
元々使っていた5.1chのサラウンドシステムで構築していたが、
ここ数年アンプの調子が悪く、一気にリプレイスすることにした。
また、Macで音楽を再生する環境が内部スピーカーもしくは
Amazon EchoなどのBluetooth接続ではスリープ毎に接続が切れてしまうため、
再生する度に再接続する必要があるので煩わしく感じるため、その部分の改善も行う。
今回構築した音響環境は音質とコスパに重視した構成なので、
同じ予算感で迷いに迷って決められない人は思い切って同じ構成で構築するとよい。
今回用意した予算としては10万くらい。
(もちろん場合によっては買わないといけない物もあるので金額は上下するだろう)
記事最後には拘りのせいで消えていった比較的安価な構築にも触れたいので最後まで見てほしい。
そもそもアップデート前の5.1chのサラウンドシステムと
アップデート後のデスクシェルフ型のステレオ環境では
比べるべきではないのかもしれないので、あくまでも参考程度に見てもらえると嬉しい。
旧構成
元々の音楽や映画を楽しんでいた環境で使用していた機材は下記
アンプ
- DENON AVC-M380
- 5.1chホームシアターシステム
スピーカー
- フロント、サラウンド用スピーカー(SC-AM380)
- センター用スピーカー(SC-CM380)
- スーパーウーハー(DSW-M380)
プレーヤー
- レコードプレーヤー(DENON DP-29F)
- フォノイコライザー内蔵で安価なアンプでも再生できるコスパ最強のレコードプレーヤー
- WindowsデスクトップPC(自作)
- 音楽再生ソフトは「foobar2000」、「Amazon Music」等。
- 1人で遊ぶようなゲームの場合はこのサラウンドシステムで楽しんだりもしていた。
スピーカーとアンプの個人的な評価
このシステムは比較的安価で10年以上前の当時、
家電量販店でも手に入る入門機として売られていた。
アンプには光ケーブルとアナログの入力が複数あり、
PCやテレビ、フォノイコライザー内蔵のレコードプレーヤーとの相性も良い。
アンプのデザインとしてはシルバーで小さめではあるがずっしりと重く高級感がある。
それぞれのスピーカーについては、かなり小さめなので
書斎などで視聴する分では環境の構築は比較的難易度というか敷居は低め。
音質に関してはそれぞれから出る音自体は少し物足りなさを感じるが、
全体のシステムとしてはウーファーから出る重低音と立体的な中音から高音でかなりの満足度。
テレビゲームや映画を見るときの迫力は5.1chのシステムを経験していない人からすれば
さながら映画館のようなインパクトは感じれると思う。
音楽鑑賞を目的とした場合、
最近の主流であるストリーミング再生ではドラムやベースの音もよく聞こえるし、
ボーカルの音もしっかり聞き取れる。
音量もそこそこ出せるので、
Amazon EchoでAmazon Musicを再生した時なんかより数倍良く聞こえる。
5.1chは伊達じゃないと感じた。
よくYouTubeなどである”なんちゃって立体音響”を再生すると
何ともむず痒い音楽を楽しむことができるが、音楽再生ソフトから再生させた
いわゆる圧縮音源とハイレゾ(ロスレス)音源の違いは感じることはできなかった。
もちろん、私の耳が素晴らしい性能を持っていないからこの評価になっている可能性は否定できないが、
自前のハイレゾ対応の音楽プレーヤー(Astell&Kern KANN)を
ヘッドホン(SONY MDR-Z7)やイヤホン(SHURE SE535 LIMITED EDITION)で
再生した際には違いを認識できたので、何もわからない耳でもないかと思っている。
正直この環境でのストリーミング再生だけを聴く分には何の問題もなかったが、
アンプの熱問題や入力端子(当時の大衆向けなのでデジタル端子としては光が1つのみ)の
拡張性の限界が気になったこと、
そして「所有するレコードの数の増加」や「ロスレス音源が視聴できるサービスの増加」からの
音楽に対しての関心のせいで、今のシステムの粗を探すようになってしまった。
そのため、ここでシステムの買い替えを検討することにした。
新構成
旧構成と同じ目的をベースに、できることを増やせればと最終的に下記のような構成となった
スピーカー
- YAMAHA NS-B330
- HiFi対応のデスクシェルフ型スピーカー
- 購入時価格:¥36,954
アンプ
- YAMAHA A-S301
- HiFi対応のプリメインアンプ、フォノイコライザーを内蔵
- 購入時価格:¥34,020
オーディオインターフェイス(AI/F)
- Focusrite Scarlett Solo 4th Gen
- 入力:USB-C対応
- 出力:バランス接続(TRS)・・・私の環境ではTSでアンプとRとLをそれぞれ接続
- 購入時価格:¥19,800
プレーヤー
- レコードプレーヤー
- 旧構成と同様
- WindowsデスクトップPC
- 旧構成と同様、光ケーブルで直接アンプと接続
- M3 MacBookPro
- USB-CでAI/Fと接続
- 音楽再生ソフトは「Apple Music」、「Audirvāna」
選んだ機材と比較対象
まず候補を選んでいく前提として、
私はスピーカー→プリメインアンプ→オーディオインターフェイスの優先度で機材を選んだ。
理由としては、
音楽鑑賞で最も価格が性能に直結するものがスピーカーだと考えているからだ。
いくら高級なアンプを使用しようとも、出口であるスピーカーが見合ったものでなければ
宝の持ち腐れという考えだ。
なのでまず、予算の配分をスピーカー>アンプ>オーディオインターフェイスとした。
スピーカーの選択
ではまずスピーカーの候補の話から行きたいが、そもそもスピーカーにも種類があり、
大きくわけて2種類(アクティブスピーカーとパッシブスピーカー)がある。
アクティブスピーカーとは、
スピーカーにアンプが内蔵されたスピーカーのことで、
簡単に言えば、今回構成に入っているアンプが不要となる便利なスピーカーだ。
アンプを購入する決心がつく前はこの種類のスピーカーを選択する予定だった。
ここでもいくつか候補があったが、この後触れようと思う。
そして今回選んだのがアクティブに対してパッシブスピーカーとなるが、
こちらはアンプが内蔵されないため、音量の調整や増幅などの部分をアンプに任せることで
スピーカーに対するコストを音質向上に向けることができる。
今回パッシブスピーカーを選んだ理由は「予算内で最も音質を高く構築したい」
という理由なのでパッシブスピーカーを選択した。
パッシブスピーカーの候補と比較
DALIの「OBERON1」、Klipschの「Reference R-50M」などが候補となった。
どちらも今回選択したYAMAHAの「NS-B330」より価格は高く、
もしかすると今より高音質な環境となったかもしれないが、
個人的にはYAMAHAのナチュラルな音という評価に期待してこちらを選択した。
プリメインアンプの候補と比較
SONYの「STR-DH190」、Marantzの「PM6007」が候補となった。
「STR-DH190」はBluetooth対応でかつフォノ音量調整機能があるので、
拡張性で言えばSONYの方が良かったが、音質という意味では
私の目的の予算内でできる最大の高音質という意味では余計な機能は不要と考えたので、
上記で選んだスピーカーと確実に相性の良いであろうYAMAHAの「A-S301」を選択した。
Marantzの「PM6007」に関してもMarantzは正直憧れや期待もあるが、
予算のオーバーの心配と、デザインがYAMAHAの方に惹かれた部分もある。
オーディオインターフェイス/USB-DACの候補と比較
最後にプレーヤーとアンプを接続するためのDACについてだが、正直一番迷ったかもしれない。
候補となる機材もたくさんあるのだが、
果たしてDACを選ぶべきなのか、オーディオインターフェイスを選ぶべきなのか。
悩みに悩んで色々調べた結果、自分なりの結論を見つけた。
音楽だけを目的とした場合、USB-DACを選択する人は多いだろう。
DACの性能を左右するDACのチップだが、10万円も出せば流石に性能は格段に上がるだろう。
しかし先ほど選んだ機材の金額を予算から引くと使える金額はおおよそ2〜3万程度。
正直3万円以下で選べるDACとオーディオインターフェイス、違いはあるのだろうか。
USB-DACの候補としてはUSB-DACを調べれば誰しもが候補に入れるであろう
iFi Audioの「ZEN DAC」がある。
こちらはiFi audio ZEN DAC 3が最新のモデルとなるが、予算をオーバーしてしまう。
前のモデルのv2についても発売当初は3万円を切る価格で購入ができ、
その性能からコスパがよくかなり評価を受けていたが、
v3のモデルが出るまではプレミ価格がついて4万円を超える金額で売られていることもしばしば。
3万を切る価格での評価としてはかなり良いアイテムではあるが、
4万円を超えた価格としては果たしてどうなのか。
ということで候補から除外した結果、
自分の中ではUSB-CでMacと接続できるオーディオインターフェイスでよいという結果になった。
今回購入したFocusriteの「Scarlett Solo」と他を比較した際、
USB-Cで接続できるものがあまりないため、選択肢が少なかったのだが、
「Scarlett Solo」のメーカーFocusriteの信頼度(ドライバのサポート等)が良いと感じた。
ドライバのサポートなんてどうでも良いと思っている人も一定数いるかと思うが、
ドライバがおかしい機材を接続するとどうなるか。
最悪機材が潰れるどころか、
イヤホンやヘッドホンを繋いでいる場合には使用者の耳まで破壊してしまうことでしょう。
とまあ大袈裟に言いましたが、そのくらいのことも考えられるということです。
信用できるメーカーのものを使いましょう。
余談
最終的にオーディオインターフェイスを選んだのはわかったけども、
結局スピーカーもアンプもYAMAHAなんだし、
オーディオインターフェイスもYAMAHAでもいいんじゃないかという話
実はYAMAHAにもオーディオインターフェイスの商品があり、「AG03 MK2」という商品がある。
それ以外にも候補はあるが予算内でかつ有名な商品はAG03だ。
このアイテムは配信者などにかなり好まれていてレビューなんかもかなりある大衆向けの商品。
しかしこれはいわゆるストリーム向けに最適化された
音質なんて二の三の四の次くらいの考えの代物。
(一応、24-bit 192kHzの 2トラック録音再生はついてはいるが、、、)
故にAmazonではよくわからないマイクが付属していたり、
YAMAHA公式でも抱き合わせのセットが売っていたりするので注意が必要だ。
正直AG03を使うくらいなら1万円以下の中華USB-DACをサポート切れるまで使った方がいい。
もちろん、今から配信や収録に使いたいといった人にはこれらを使っても悪くはないだろう。
いざ構築
- スピーカー:YAMAHA NS-B330 ¥36,954
- アンプ:YAMAHA A-S301 ¥34,020
- オーディオインターフェイス:Focusrite Scarlett Solo 4th Gen ¥19,800
合計金額:¥89,774
なんとか予算内に収まった。
ここのシステムを繋ぐケーブル類を購入したらおそらくちょうど予算くらいだろう。
まず、音楽を再生するためのプレーヤーとしてMacBookProを使う。
旧構成ではWindowsを使って映画や音楽を楽しんでいたが、
ロスレス音源がApple Musicで再生できることと、
ハイレゾの音楽再生ソフト「Audirvāna」の環境構築が済んでいるため、
今回はこの環境で音楽視聴する。
- MacからUSB-CでScarlett Soloと接続する。
- USBケーブルはできるだけ高品質なもの、もしくはオーディオ用のケーブルを選ぶ。
- Macについてはドライバが不要、公式サイトから制御アプリをダウンロードする。
- Scarlett SoloとA-S301をそれぞれRとLをTSケーブルで接続する。
- Scarlett SoloはTRS(バランス)でも接続できるが、 A-S301にはRCAで接続する必要があるため、TSto2RCA(6.35mmジャックからステレオの赤白に変換)のケーブルが2本もしくはそれが2本連なった商品を選ぶ必要がある。
正直この辺で変な繋ぎ方をしてしまうこともあるので注意が必要
- Scarlett SoloはTRS(バランス)でも接続できるが、 A-S301にはRCAで接続する必要があるため、TSto2RCA(6.35mmジャックからステレオの赤白に変換)のケーブルが2本もしくはそれが2本連なった商品を選ぶ必要がある。
- A-S301とスピーカー(ペア)を接続する。
- ここもこだわりポイントではあるが、正直Amazonのスピーカーケーブルを試してから他を検討すると良い。十分な品質を持っているだろう。
但し、スピーカーは2台あるので2本購入しよう。(失敗談)
- ここもこだわりポイントではあるが、正直Amazonのスピーカーケーブルを試してから他を検討すると良い。十分な品質を持っているだろう。
- Macの再生ソフトから音楽を再生する。
システムの評価とまとめ
今回再生した曲はイーグルスの「Hotel California」
よく音楽再生のレビューに使われる曲。元々この曲が大好きだが、
以前からハイレゾ音源を購入していたので一番はじめに再生しようと思っていた。
スピーカーから流れる音の感想としては
やや中音から高音の音が少なく感じたが、アンプや再生ソフトのイコライザで
チューニングすることで、ボーカルやドラムの音をしっかりと感じることができた。
イントロのギターもか細く感じない明度の高い印象。
低音に関してもしっかりと響いてくれたように感じた。
アンプについては複数台所持はしていないので、アンプとしての比較検証は叶わないが、
現状スピーカーに出力した音はアンプについているノブで
それぞれBASSやTREBLEの調整することで納得のいく低音〜高音を再生できた。
オーディオインターフェイスについても特に不満はなく、
音源をしっかりとアンプ、スピーカーに伝えてくれている印象。
正面にOutputのノブがあるので、デスク上での微調整はかなりやりやすい。
今回の構成は購入直後の感想であり、エージングがどれだけ音質に効果があるかはわからない。
今回は書斎にシステムを構築しているが、まだ角度の調整や反響などは手付かずなので、
その辺も試していきたい部分ではある。
ただ、現段階言えることとしては旧構成よりも確実に音楽を再生する楽しみは増えたし、
Macで簡単に音を楽しむ環境が手に入ったのは嬉しい。
アクティブスピーカーのすゝめ
では最後に、初期構想で練っていたアクティブスピーカーの構築内容を紹介しよう。
新構成では軽く説明をしたが、スピーカーにはアンプ内蔵のアクティブスピーカーが存在する。
今回私の構成からは最終的に除外したが、
正直なところこちらの構成でもしっかりとした環境を構築できると思っている。
目的
MacBookを所有している人は音楽を鑑賞するときに何を使って音楽を聞いているだろう。
大半の人は内部のスピーカーもしくはBluetoothで接続したスピーカー等ではないだろうか。
もちろん外出先で使うため、Bluetoothのイヤホンなどで再生している方もいるとは思うが・・・
MacBookにはクラブシェルモードという機能が存在する。
これはノートPCであるMacBookをデスクトップ的な使い方ができる便利な機能だ。
私はこのモードを基本的に使用して、据え置きでMacを活用している。
そこで少々厄介なのが、
スリープするたびにBluetoothのスピーカーやHomePodの接続が切れてしまうことだ。
Macで接続の切れたスピーカーに接続し直すのは正直煩わしさを感じてしまう。
そこで、USB-DACやオーディオインターフェイスをスピーカーとして認識させて、
あとはアンプ内蔵のスピーカーに繋げておけば、何も気にすることなくスピーカーから
YouTubeの音もApple Musicの音楽も再生される。
アクティブスピーカーの候補
今回候補としたスピーカーは下記
- Edifier ED-R1100-A
- ¥9,636(ペアセット)
- 先ほどの目的だけを達成するならコスパは最強。低音高音の音質も申し分なし。
音量調節が背面だが、USB-DACやAI/Fに接続するなら関係ない。
- Edifier MR4
- ¥16,180(ペアセット)
- モニタースピーカーで音を正確にリスニングできる。
- これもコスパ良く評価も高い。デザインは好みが分かれる気もする。
- YAMAHA HS5
- 単品¥17,600(ペアセット:¥34,500)
- これもモニタースピーカー
- アンプを買う決心がつくまでは最有力候補の1つだった。サイズが大きい分音質は良い。
- 後述するMSP3Aと比較対象
- YAMAHA MSP3A
- ¥34,600(ペアセット)
- HS5よりも小さくモニタの横に設置しやすい。
- 音質はHSと同等だが低音が弱い噂も。ただ2系統の入力ができるので玄人向け?なイメージ
- KANTO YU2
- ¥34,800(ペアセット)
- DAC内蔵でUSBでPCと接続が可能。最近のMacとかだとUSB-Cじゃないと指せないのでハブなど使う必要があるが、USB-DACやオーディオインターフェイスも必要ない。
正直PCとモニターとスピーカーの最小構成でいくならこれ一択。 - サイズもかなり小さく、重量も少ない。音質もバランスが良い。
- KANTO YU4
- ¥59,800(ペアセット)
- 予算もしっかりあって置く場所が困らないならYU2でなくYU4を選択肢に入れてもよい。
- デザインの選択肢も豊富
最後に
色々スピーカーを調べる中で、構想がぶれてしまった。
元々予算は5万円程度で考えていたのだが、
理想を追い求めていった結果倍の予算を組むこととなった。
基本的に自分の性分なので諦めるしかなのだが、
見てくれた方はしっかり予算とは向き合った方が良いと思う。
記事の中で書いてはいるが、旧環境でも満足できる音質はあったので
当初の予算でも問題なく私の耳を満足させていたとは思う。
スピーカー選びにもかなり時間をかけたが、ネットでダラダラ調べるよりも
ヨドバシカメラなどの試聴できるお店に足を運んで耳で音を聞いてほしい。
そこまでの違いを感じないなら、音質にお金をかけるよりも
利便性(無線接続ができる、接続が簡単、音量調整しやすい等)にお金をかけた方が良い。
ということで、音響には沼があるのでくれぐれもご注意を。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
良い音響環境選びを。